雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

問題三:和歌と儀礼の関係――贈答歌にみる社会的機能

和歌と申すもの、ただ私事の感慨を詠むのみにはあらず、上達部・殿上人の御中にては、詞の使ひやりにも勝りたる儀礼の一とぞなりける。ことさらに、贈答の歌、あるいは歌合のさまにて詠まるるを見れば、人の心ばへや、御階の高下、さるべき御心ざしの程まで…

問題二:本歌取りの技法と思想的意義についての研究

本歌取りの心、いかにぞ本歌取りは、ただ技を競ふ引用にあらず。心の深みに及び、世の理や人の情を継ぎゆくものなり。古今集、拾遺集、新古今集など、和歌の流れにそひて、本歌取りの妙はいとめでたく、歌人の志を映す鏡のごとし。されば、かかる歌々の例を…

「石と水の都」を築いた斉明大王―飛鳥京造営と益田岩船に秘められた謎を探る

「石と水の都」を築いた斉明大王―飛鳥京造営と益田岩船に秘められた謎を探る 宗像多紀理 大化の改新前後、激動の飛鳥時代を牽引した女帝・斉明大王。 彼女は、倭国(日本)の律令制確立の舞台となった奈良県明日香村に、飛鳥京を造営した大王として、近年あ…

萬葉集 巻第一 17 長歌

萬葉集 巻第一 17 長歌 額田王 味酒三輪の山 あをによし 奈良の山の山の際に い隠るまで道の隈 い積もるまでにつばらにも 見つつ行かむをしばしばも 見放けむ山を心なく 雲の隠さふべしや 最新全訳古語辞典(東京書籍)の訳 三輪の山が、奈良の山々の、山の…

問題一:和歌における「もののあはれ」の表現と美学の変遷について論ぜよ

課題内容: 『源氏物語』をはじめとする平安朝文学における和歌の用例を三首以上取り上げ、それらに共通する「もののあはれ」の感性がどのように表出されているかを分析せよ。また、中世和歌(たとえば藤原定家や西行の歌)と比較しつつ、その美学的変遷につ…

問題一:和歌における「もののあはれ」の表現と美学の変遷について論ぜよ 課題内容:『源氏物語』をはじめとする平安朝文学における和歌の用例を三首以上取り上げ、それらに共通する「もののあはれ」の感性がどのように表出されているかを分析せよ。また、中…

萬葉集  巻第ニ  141

萬葉集 巻第ニ 141 有間皇子 有間皇子、自ら傷みて松が枝を結ぶ歌二首 磐代の浜松が 枝を引き結び 真先くあらば また還り見む 『日本古典文学全集』(小学館)の訳 有間皇子が自ら悲しんで松の枝を結ぶときの歌有間皇子磐代の浜松の枝をひき結んでさいわい無…

萬葉集  巻第ニ  142

萬葉集 巻第ニ 142 自ら傷みて松が枝を結ぶ歌二首 有間皇子 家にあれば笥に 盛る飯を草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る 教科書『国語総合』(第一学習社)の訳 有間皇子が自ら悲しんで松の枝を結ぶときの歌 有間皇子 家にいるといつも食器に盛る飯を旅にいるの…

新古今和歌集  巻第十三  恋歌三  1167

新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1167 題知らず 実方朝臣 明けがたき二見の 浦に寄る波の 袖のみ濡れて 沖つ島人 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 題知らず 実方朝臣 夜の明けがたい二見の浦に寄る波のように、長い感じの夜…

異文化の橋としての言の葉——『源氏物語』と和歌の深層をめぐる日米間の対話

異文化の橋としての言の葉——『源氏物語』と和歌の深層をめぐる日米間の対話 多紀理 序章 はじめに 国文学を専攻する身として、和歌や物語文学に宿る美意識と精神性は、まさに日本文化の中核であると日々実感しております。とりわけ『源氏物語』における和歌…

新古今和歌集 巻第一 春歌上 10 百人秀歌 73

新古今和歌集 巻第一 春歌上 10 百人秀歌 73 権中納言国信 堀河院御時、百首歌奉りけるに、 残りの雪の心をよみ侍りける 春日野のした萌え わたる草の上に つれなく見ゆる 春のあは雪 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 堀…

大祓祝詞

大祓詞 高天原に神留坐す 皇親神漏岐 神漏美の命以ちて 八百萬神等を神集へに集へ賜ひ 神議りに議り賜ひて 我が皇御孫命は 豐葦原水穗國を 安國と平けく知ろし食せと 事依さし奉りき 此く依さし奉りし國内に 荒振る神等をば 神問はしに問はし賜ひ 神掃ひに掃…

神社の社格と神道の歴史――忘却された日本人の精神的基盤をたどる

神社の社格と神道の歴史――忘却された日本人の精神的基盤をたどる 宗像多紀理 一、はじめに――忘れられた制度と精神 日本人にとって神社は、日常の中に自然に溶け込んだ存在であり、特別な信仰心を持たずとも初詣や七五三、あるいは地鎮祭などを通じて、神道的…

後拾遺和歌集 哀傷 536 百人秀歌 53

後拾遺和歌集 哀傷 536 百人秀歌 53 藤原定子 一条院御時、皇后宮かくれたまひてのち、 帳の帷の紐に結びつけられたる文を見つけたりければ、 内にもご覧ぜさせよとおぼし顔に、歌三つ書き付けられたりける中に 夜もすがら契りし ことを忘れずば 恋ひむ涙の …

瀬織津姫と記紀神話の空白 —— 神名の陰に潜む古代神の消息

瀬織津姫と記紀神話の空白 —— 神名の陰に潜む古代神の消息 宗像多紀理 わが国の神話世界は、奈良時代に成立した『古事記』および『日本書紀』、いわゆる記紀神話によってかたちづくられております。しかしながら、これらの古典におきまして、今日「祓戸四神…

新古今和歌集 巻第十二 恋歌二 1145

題知らず 明日知らぬ命をぞ 思ふおのづから あらば逢う世を 待つにつけても 殷富門院大輔 (新古今和歌集 巻第十二 恋歌二 1145) 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 題知らず 殷富門院大輔 明日がどうなるか分からない命を思…

沖津島日記 3.『交はる心の露もなき人にもの申されて』

沖津島日記 3.『交はる心の露もなき人にもの申されて』 わが営み候ふ小さき集ひに、いと由なき言の葉を交はし侍る人のありけるを、なにがしの心まではかりかねて、そもいかにとたづね侍れば、 「我もまた、世にていと忙しき商ひを致し候ふ身にて、CFDやCrypt…

沖津島和歌集(自歌) 32 33

沖津島和歌集 32 多紀理 かなしさに涙も みせずをみなのは 言の葉よりも まことを見きはめ 沖津島和歌集 33 多紀理 わが胸につきし 火影のしづこころ ただひとすじに まことをたづぬ tagiri.hatenablog.com 山家集【電子特典付き】【電子書籍】[ 西行 ]価格:…

和歌という言葉の織り:秘められた真意をたどる試み

和歌という言葉の織り:秘められた真意をたどる試み 和歌を読み解く際、私は、いわゆる直訳に重きを置くことはほとんどございません。 この点こそ、私が最も大切にしている視点でございます。 と申しますのも、和歌というものは、しばしば「暗号」に近い性格…

古今和歌集  巻第六  冬歌 337

雪の降りけるを見てよめる 雪降れば木毎に 花ぞ咲きにける いづれを梅と わきて折らまし 紀友則 (古今和歌集 巻第六 冬歌 337) 【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】 雪が降ると、どの木もこの木も、木毎に花が咲いたように見える。 どの木を春の最初…

揺曳する時の感性――小林秀雄とベルクソンの時間観に寄せて

揺曳する時の感性――小林秀雄とベルクソンの時間観に寄せて 宗像多紀理 小林秀雄が生涯を通じて見つめ続けた「美」と「真実」の探究において、時間という観念は決して副次的なものではなかった。彼の批評文の底流には常に、対象のうちに潜む「時の気配」をす…

名誉に殉じた夫婦の覚悟 ― 『葉隠』に見る武家女性の矜持

名誉に殉じた夫婦の覚悟 ― 『葉隠』に見る武家女性の矜持 武士とは、その身にその名を受けた者のみならず、その妻や子、ひいては一門に至るまで、つねに武士としての立ち居振る舞いを求められる存在でございました。 たとえ女性であろうと、あるいは年若き子…

古今和歌集  巻第六  冬歌  314

題しらず 龍田河錦 織りかく神無月 時雨の雨を たてぬきにして 詠人不知 (古今和歌集 巻第六 冬歌 314) 【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】 龍田川は自ら錦を織って端から端まで掛け渡しているようだ。 この十月の時雨を縦糸と横糸にして…。 【意訳…

春麗の横浜──みなとみらいを彩る桜の小径を歩む

春麗(うらら)の横浜──みなとみらいを彩る桜の小径を歩む 日本各地から、桜の便りが次々と届く春の盛り。ここ横浜・みなとみらいにおいても、ようやく心ゆくまで桜を愛でることが叶いました。 先週末にも、すでに見応えのある花々が咲き誇っておりましたが…

古今和歌集 巻第六  冬歌 323

冬の歌とて 雪降れば冬ごもり せる草も木も 春に知られぬ 花ぞ咲きける 紀貫之 (古今和歌集 巻第六 冬歌 323) 【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】 雪が降ったので、冬ごもりして咲かないはずの草や木にも、春とはかかわりのない雪の花が咲き出した…

日本の将軍とは何か――その起源と変遷をたどる

日本の将軍とは何か――その起源と変遷をたどる 現在、真田広之氏が製作総指揮・主演を務めるアメリカの歴史ドラマ『SHOGUN 将軍』が、世界的な話題を呼んでおります。 アメリカにて放映・配信されるや否や、大きな反響を得て、今なお高い関心を集め続けており…

The Spirit of Japanese Words Hidden in Waka Poetry(和歌に秘めたる日本人の言霊)

The Spirit of Japanese Words Hidden in Waka Poetry(和歌に秘めたる日本人の言霊) by MUNAKATA Tagiri 【Configuration】 Introduction(序論) The Concept of Kotodama and Its Cultural Roots(言霊の概念とその文化的根源) Waka as a Medium of Kot…

春を愛でる、絵のなかの花ざかり

このたび、久方ぶりに山種美術館を訪ねました。 朝のうちに家を出て、恵比寿駅から歩を進めることおよそ十三分。 途中、明治通りを陸橋で越えるあたり、ふと見上げれば、満開の桜並木が出迎えてくれました。陸橋の上からも下からも、その眺めのなんと麗しか…

萬葉集 巻第十九 4139

天平勝宝二年三月一日の暮に、春苑の桃李に花を眺瞩して作る歌 春の苑紅 にほふ桃の花 下照る道に 出で立つをとめ 大伴家持 (萬葉集 巻第十九 4139) 高岡市万葉歴史館 高岡市万葉歴史館|大伴家持が来た越の国[富山県高岡市] 歌詳細 | 万葉百科 奈良県立万葉…

『紫式部日記』多紀理翻訳推敲校正版

『紫式部日記』 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』多紀理推敲校正版 『紫式部日記』(むらさきしきぶにっき)は、平安時代中期の女房・紫式部が記したとされる日記です。藤原道長のご要請により宮中に参内した紫式部が、寛弘五年(1008年…