2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧
新古今和歌集 巻第十二 恋歌二 1100 題知らず 西行法師 数ならぬ心の とがになし果てじ 知らせてこそは 身をも恨みめ 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 西行法師 ものの数ではないつまらない身の心の過ちにして、あ…
新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1201 題知らず 八条院高倉 いかが吹く身にしむ 色の変るかな 頼むる暮の 松風の声 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 八条院高倉 どのように吹くのか。 身にしみる様子が変わっている…
紫式部集 39 遠き所へ行きにし人の亡くなりにけるを、 親はらからなど帰り来て、悲しきこと言ひたるに、 いづかたの雲路と 聞かば訪ねまし 列離れけむ 雁がゆくへを 現代語訳(渋谷栄一) 遠い所へ行った友人が 亡くなってしまったことを、 親や兄妹などが京に…
82. 頭の中将の、すずろなるそら言を 頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて、いみじういひおとし、「何しに人とほめけん」など、殿上にていみじうなんのたまふ、と聞くにもはづかしけれど、まことならばこそあらめ、おのづから聞きなほし給ひてんとわらひて…
廬山草堂に、夜雨独り宿し、牛二・李七・庾三十二に員外に寄す 白居易 丹霄攜手三君子 白髮垂頭一病翁 蘭省花時錦帳下 廬山雨夜草庵中 終身膠漆心應在 半路雲泥迹不同 唯有無生三昧觀 榮枯一照兩成空 丹霄に手を携ふ 三君子 白髪頭に垂る 一病翁 蘭省の花の…
古今和歌集 巻一 春上 2 紀貫之 春立ちける日よめる 袖ひちてむすびし 水のこほれるを 春立つ今日の 風やとくらむ 古今和歌集 片桐洋一訳 笠間書院 暑いさなか、袖が濡れんばかりにして手ですくった、 あの山の清水が冬には凍っていたのを、 今日、この立春…
新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1267 題知らず 西行法師 月のみやうはの 空なる形見にて 思ひも出でば 心通はん 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 西行法師 月だけが上空に浮いているお互いの形見であって、お互いに…
新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1196 西行法師、人々に百首歌よませ侍りけるに 藤原定家朝臣 あぢきなくつらき 嵐の声も憂し など夕暮に 待ちならひけん 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 西行法師が人々に百首の歌を詠ませ…
新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1227 題知らず 小侍従 つらきをも恨みぬ われにならふなよ 憂き身を知らぬ 人もこそあれ 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 小侍従 あなたの冷淡なのをも恨まないで、耐えている私に、…
紫式部集 4. 5. 方たがへにわたりたる人の、 なまおぼおぼしきことありて、 帰りにける早朝、 朝顔の花をやるとて おぼつかなそれか あらぬか明け暗れの 空おぼれする 朝顔の花 返し、手を見わかぬにやありけむ いづれぞと色わく ほどに朝顔の あるかなきか…
新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1186 後朝恋の心を 摂政太政大臣 またも来ん秋を たのむの雁だにも 鳴きてぞ帰る 春のあけぼの 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 「後朝の恋」の心を 摂政太政大臣 またも訪れてくるはずの秋を…
新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1240 内に久しく参り給はざりけるころ、 五月五日、 後朱雀院御返事に 陽明門院 方々にひき 別れつつあやめ草 あらぬねをやは かけんと思ひし 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 内裏に久しく参…
『栄花物語』より 後朱雀院 もろともにかけし あやめをひき別れ さらに恋路に まどふころかな 意訳 作者:後朱雀院 皇后にてあらせられる貴女(陽明門院)とわたくし(後朱雀院)は、かねてより御心を寄せ交わし、深き情愛に結ばれておりました。 端午の節句…
静寂のなかに咲く茶のこころ――千利休と表千家の美意識 多紀理 はじめに ひと碗の茶に、なにを託すか。それは一服の香りにとどまらず、人の世における関係性の澄明を願い、また、無言のうちに交わされる美意識の極みとも申せましょう。千利休は、まさしくこの…
新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1188 女のもとに、ものをだに言はんとてまかれりけるに、 むなしく帰りて朝に 左大将朝光 消えかへりある かなきかのわが身かな 恨みて帰る 道芝の露 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 女のも…
『萬葉集』巻五と巻十一の贈答歌における〈言葉〉と〈まなざし〉の交差 —形式と倫理性の比較分析— 多紀理 1.はじめに 日本最古の歌集である『萬葉集』における贈答歌は、単なる言葉の遣り取りを超え、相手の〈まなざし〉を映し出し、その内心を慮る詩的行…