閑話休題
和歌英訳における意味生成の非可換性――音韻・修辞・文化記号の三層構造と翻訳行為の限界に関する批評的考察 多紀理 【序論】 本稿は、日本語和歌を英語へと訳出する際に生起する困難を、言語構造・音韻修辞・文化記号の三層において分析し、翻訳行為に内在す…
円周率が、3.05より大きいことを証明せよ。(2003年 東京大学) 多紀理の解き方 発想 円のまわりの長さ(=円周率)は円の中に入る多角形より必ず長い だから→ 円の中に「そこそこ丸い形」を入れて→ その周の長さが3.05より大きければOK というだけです。 「円…
【設問一】(頭の体操・お気楽に・・文字数二つ合わせて2000字くらい) 紀貫之『土佐日記』において採用された「女性仮託」という叙述形式は、和歌表現および作品全体の文学的性格にいかなる変容をもたらしたか。漢文日記との比較を踏まえつつ、仮名文体の成立…
博士課程学生と論文査読――静かな学びの現場から はじめに 大学院で研究生活を送っておりますと、「論文の査読」という言葉を、次第に身近なものとして感じるようになります。わたくし自身、博士課程に在籍するなかで、指導教員のもと、学術論文の査読という…
小林秀雄『無常という事』における日本的精神構造の把握について 多紀理 はじめに 小林秀雄の評論「無常という事」(初出1946年)は、敗戦直後という歴史的断層の只中において、日本人の精神の深層を静かに見据えた思想的文章として、今日なお高く評価されて…
和歌における歌語・表現慣習・美意識と詠歌主体の内的精神構造の復元――方法論的考察(覚書) 多紀理 序論 和歌は、日本文学史において極めて特異な位置を占める詩形であり、31音という制約のもとに多様な感情、美意識、歴史的意識を凝縮するものとして発展しま…
香りたつ才の人のゆくへ──言の葉にしづく想ひをたどりつつ 多紀理 孟嘗君が秦の国に捕らわれた際に、函谷関の関まで逃げ着き、朝まで開かない門を鶏の鳴き真似をして開かせて無事帰国したという『史記』の「函谷関故事」をあの北斎が絵画化。『詩哥冩真鏡・…
わたくしごとながら、現在までの履修状況および今後の見通しにつき、以下のとおりご報告申し上げます。 これまでに、必修科目である「博士研究指導Ⅰ」2単位、同じく必修の「国文学特殊研究」2単位、ならびに選択科目として「関連分野特殊研究」4単位、合わせ…
紫式部小伝 ― 平安の光と影を生きた才媛の姿 2024年度のNHK大河ドラマ『光る君へ』では、平安の華やぐ宮中にて文学の光を見いだした紫式部を主人公とし、吉高由里子氏が紫式部(まひろ)を演じております。 世界最古の長編小説とも称される雄大な『源氏物語…
熊蟄穴の季節に寄せて 熊蟄穴とは、やや読み難さを覚える言葉でございまして、漢文訓読では「くま、あなにこもる」と訓ずると伝えられております。七十二候のひとつに位置づけられ、冬の気配がいよいよ深まりゆく十二月中旬、大雪から冬至へと向かう途上の、…
和樂web様より転載、多紀理推敲校正 Do you know the proper route to Izumo Taisha, the cherished shrine of love and marriage? Here is your gentle, complete guide for strolling through its serene grounds and sacred inner precincts Izumo Taisha…
ヘルシーでおいしい精進料理おつまみレシピ──3種のやさしい作り方 多紀理 精進料理とは 「精進料理」と申しますのは、肉や魚をいっさい用いず、「ねぎ・にら・らっきょう・にんにく・しょうが」といった辛みの強い五葷も避けるという、仏教の教えに基づいた…
ことのはに宿る祈り 十月の連休には、飛騨の山あいにございますダムや温泉宿に籠もり、静かに心を鎮めておりました。 車を走らせながら、風の切り裂く音をひとつの調べとして耳にしておりましたところ、ふと―― 「そういえば、和歌はしばしば神社に奉納される…
天照大御神─性別の揺らぎと神格変遷の考察 多紀理 1 はじめに 太陽を司り、また皇室の祖神と称される天照大御神(アマテラスオオミカミ)は、古代以来日本神話の中心的存在でございますが、その性別表現は一義に定まらないものとされております。たとえば、…
籠目と暗峻の語:『かごめかごめ』における暗号的寓意読みと神社・記憶文化との接点 多紀理 序論 日本のわらべうた『かごめかごめ』は、短い詞の中に多様な謎と意味の余白を宿し、長らく学者や愛好者の注目を集めてまいりました。本稿では、同歌を「暗号(ci…
お互い読者になっている凛太郎様のことばを旅するに触発され、少し紀貫之に関して思索をめぐらせてみました。本稿では、平安時代前期の歌人にして和文表現の先駆者たる紀貫之の文学的位相を、歌学・作歌・散文の三つの軸から丁寧に考察いたします。特に、仮…
神祇と陰陽 ― 日本古代神社制度と陰陽道の交錯 多紀理 序論 わたくしたちの国の宗教的伝統は、八百万の神々を敬い、森羅万象に神霊を見出すところに始まります。その萌芽は縄文時代の精霊信仰にさかのぼり、弥生時代には稲作祭祀を基盤として広がり、古墳時…
八条院像(安楽寿院蔵) 八条院 ― 平安王朝に不動産王国を築きし皇女の盛衰 多紀理 一般に日本史の学びにおいて「荘園」という語を耳にすることが多うございます。荘園とは、田畑や山林を貴族や寺社が所有し、そこに生きる人々から年貢を受ける仕組みにほか…
静寂のなかに咲く茶のこころ――千利休と表千家の美意識 多紀理 はじめに ひと碗の茶に、なにを託すか。それは一服の香りにとどまらず、人の世における関係性の澄明を願い、また、無言のうちに交わされる美意識の極みとも申せましょう。千利休は、まさしくこの…
うつし世に、言葉なきものの光を見て――沈黙の知と日本文化 多紀理 一、はじめに──語らぬことの価値 今日、私たちが生きる社会は、言葉に満ちあふれております。あらゆるメディアや通信手段を通じて、言葉が飛び交い、絶えず意味が生産され、消費されておりま…
「老人と海」に奏でる通奏低音――沈黙の海が語る祈りと愛の調べ 多紀理 【序章――海という通奏低音のはじまり】 アーネスト・ヘミングウェイの小説『老人と海』は、一見すれば、老漁夫と巨大な魚との静かなる対峙を描いた物語のように思われがちでございます。…
平安の色香──平安女性と和歌の織り成す心の風景 多紀理 序章:やまとごころの結晶としての和歌 和歌は、古代日本において最も端的に感情を凝縮し、ひとの心の襞を言の葉に託した表現である。その最盛ともいえる時代を迎えたのが、平安中期から後期にかけての…
言霊の綾渡し ― 山家集翻刻におけるこころの航路 ― 異本・表記・校訂の課題を中心に ― 多紀理 はじめに 本稿は、鎌倉初期の風雅を今に伝える歌集『山家集(さんかしゅう)』における翻刻作業の難渋さについて、多角的に掘りさげ、学術的にして温雅なまなざし…
かぐや姫に秘められし暗号──記号論的視座からの超解釈 多紀理 序章 研究の視座と意義 『竹取物語』は、我が国最古の物語文学として広く知られておりますが、その物語構造には単なる説話を超えた複雑な象徴性が潜んでおります。かぐや姫が月から地上に降り、…
忠義の象徴としての楠木正成―『太平記』の語りと神域における顕彰 多紀理 第一章 はじめに 中世日本における政治的混乱の只中で、楠木正成(くすのき まさしげ)は南朝の忠臣としてその名を高め、後世に至るまで「大忠の士」として称えられてまいりました。…
Exquisite Japanese Egg Sandwiches in the Land of Iconic TheatresSubtitle: Ginza and Nihonbashi Edition The beloved tamago sando — the Japanese egg salad sandwich — ...may seem humble at first glance. But behind that soft bread and creamy f…
着物のたしなみと祖母の心——茶道を通して学んだ美しきこころ 私が初めて着物に親しんだのは、まだ幼い頃でございました。と申しますのも、小学生のときより茶道を習い始めた私は、その稽古の折に、祖母が着物を整えてくれた記憶がございます。祖母はいつも笑…
Japaaan magazin様より転載、多紀理推敲校正 遊女の原像をたどる――『万葉集』に息づく「遊行女婦」の面影 「『遊女=身体を売る女性』ではなかった――」。 このような認識の変化が、近年、古代日本の文献や研究の中から静かに浮かび上がってまいりました。 そ…
日本語における語順の思想構造――「結論を最後にする」言語形式とウィトゲンシュタインの言語観 宗像多紀理 一、はじめに 日本語の語順には、他の言語に見られない特異な構造がある。その最たる例が、「結論を最後にする」という表現形式である。たとえば、「…
“Meiji Japan, through photographs from 120 years ago: Scenery of Tokyo, Kyoto, and Osaka [Daredemo Museum Series]” “If so many foreigners are visiting Japan, wouldn’t a photo book highlighting the country’s tourist destinations sell quite …