雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

古典

新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 1047

時鳥の鳴きつるは聞きつやと申しける人に 心のみ空に なりつつ時鳥 人頼めなる 音こそ泣かるれ 馬内侍 (新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 1047 ) 訳者・峯村文人・小学館の訳 「ほととぎすの鳴いたのは聞いたか」と申してきた人に 馬内侍 わたしは、心ばかりが…

西行法師家集 雑 381

松のしつえあらひけん浪、古にかはらすこそはとおほえて いにしへの松の 下枝をあらひけん 浪を心に かけてこそみれ 西行 (西行法師家集 雑 381) www.dropbox.com tagiri.hatenablog.com 山家集【電子特典付き】【電子書籍】[ 西行 ]価格: 1276 円楽天で詳細…

新古今和歌集  巻第十六  1567

法成寺入道前太政大臣女郎花をおりてうたをよむへきよし侍けれは をみなへし盛りの 色を見るからに 露の分きける 身こそ知らるれ 紫式部 (新古今和歌集 巻第十六 1567) (朝露がついて美しく染まった)女郎花の今を盛りの花の色を見たばかりに 露が分け隔て…

山家集 109 (続拾遺和歌集)

落花の歌あまたよみけるに 年を経て待つも 惜しむも山桜 心を春は 尽くすなりけり 西行 (山家集 109 (続拾遺和歌集)) 何年経っても咲くのを待ち、散るのを惜しむ気持ちがなくなることはない。山桜よ。花に心を使い果たすのが我が人生だったのだ。 古事記ゆる…

山家集 470 新古今和歌集 巻四 秋歌上 362

秋、ものへまかまりける道にて 心なき身にも あはれは知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ 西行(山家集 470 新古今和歌集 巻四 秋歌上 362) 【意訳】 出家して、ものの情趣を味わうことを断った身の私のような者にも、しみじみとした趣が自然と感じられたこと…

古今和歌集  巻第四  秋歌上  175

天の川紅葉を 橋にわたせばや 七夕つめの 秋をしも待つ 詠人不知 (古今和歌集 巻第四 秋歌上 175) 意訳 天の川に紅葉の葉が散ったのを水に浮かべて、 橋のように渡すからなのだろうか、 たなばた姫は恋人の訪れる季節として、 秋を特に待っている。 解説 「…

古今和歌集  巻第十三  恋歌三  635

秋の夜も名のみ なりけり逢ふといへば ことぞともなく 明けぬるものを 小野小町 (古今和歌集 巻第十三 恋歌三 635) 意訳 秋の夜が長いというのも評判だけで実体が伴わないのだなあ。 逢うという段になると、 何か事をなすという間もなく明けてしまうのだから…

古今和歌集 巻第十四 恋歌四 689

さむしろに衣 かたしき今宵もや 我を待つらむ うぢの橋姫 (うぢの玉姫) 詠人不知 (古今和歌集 巻第十四 恋歌四 689) 意訳 筵に、自分一人の衣だけを敷き、今宵も私を待つのだろうか。 あの、宇治の橋姫は。 所感 「宇治の橋姫」:宇治橋を守る女神。神話では…

紫式部集 25  26

暦に「初雪降る」と書きたる日、目に近き日野岳といふ山の雪、 いと深う見やらるれば、 ここにかく 日野の杉むら 埋む雪 小塩の松に 今日やまがへる 返し、 小塩山 松の上葉に 今日やさは 峯の薄雪 花と見ゆらむ (紫式部集 第二部 近江・越前 25 26) tagiri.…

詞花和歌集  巻第八  恋下 244

来ぬ人を恨みも はてじ契りおきし その言の葉も 情ならずや 藤原忠通 (詞花和歌集 巻第八 恋下 244) tagiri.hatenablog.com 法性寺入道前関白太政大臣 (ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん。1097年~1164年) 摂政関白藤原忠実(ふじ…

古今和歌集  772

来めやとは思ふ ものから蜩の 鳴く夕暮れは 立ちまたれつつ 詠人不知 (古今和歌集 772) 意訳 来てくださるだろうか、いや期待はしないほうがいい。そう思いながらも、蜩の鳴き出す夕暮れになると、じっと座っていられなくなる、私は。 和泉式部の参考歌です…

山家集  巻上  春  127

散る花を惜しむ 心やとどまりて また来ん春の たねになるべき 西行 (山家集 巻上 春 127) 西行には「散る桜」を詠んだ歌が多くありますが、テキストによって異同があります。今回はその違いを比べながら、いくつかの歌を鑑賞してみます。 (A)散る花を惜し…

天の逆手(古事記)

故爾に天鳥船神を遣はして、八重言代主神を徴し来て、問ひ賜ひし時に、其の父の大神に語りて言ひけらく、「恐し。此の国は、天つ神の御子に立奉らむ。」といひて、即ち其の船を蹈み傾けて、天の逆手を青柴垣に打ち成して、隠りき。 『伊勢物語』には「あまの…

両面宿儺(日本書紀)

両面宿儺 六十五年 飛騨國有一人 曰宿儺 其爲人 壹體有兩面 面各相背 頂合無項 各有手足 其有膝而無膕踵 力多以輕捷 左右佩劒 四手並用弓矢 是以 不随皇命 掠略人民爲樂 於是 遣和珥臣祖難波根子武振熊而誅之 (日本書紀 上) 飛騨国に宿儺が現れたのは、初代…

古今和歌集 994 伊勢物語 23段

風吹けば沖つ 白波龍田山 夜半にや君が ひとり越ゆらむ 在原業平 (古今和歌集 994 伊勢物語 23段) 意訳 風が吹けば沖に白波が立つという…、龍田山を今夜あの方はひとりで越えてゆこうとしているのだわ。 歌の背景は、伊勢物語二十三段や古今集を読めばわかる…

中務集  179

うつつとも夢とも 分かで明けぬるを いづれのよにか または見るべき 中務 (中務集 179) 意訳 うつつのことか、夢であったのか判断がつかないうちに夜が明けてしまいましたけれど、これから先、いったいいつになったらまたお逢いすることができるのでしょう。…

古今和歌集  巻第十五  恋歌五  780

仲平の朝臣あひ知りて侍りけるを、かれ方になりにければ、父が大和の守に侍りける許へまかるとて、よみつかはしける。 三輪の山いかに 待ち見む年経とも たづぬる人も あらじと思へば (古今和歌集 巻第十五 恋歌五 780) 三輪の山で、どのようにしてあなたを…

みやび、って何? 『源氏物語』が現代まで千年読み継がれる理由とは

和樂web様より転載 この記事を書いた人 黒田直美 intojapanwaraku.com 現在、佳境を迎えているNHK大河ドラマ『光る君へ』。政権を巡る熾烈なバトルや複雑な男女の恋愛模様などストーリーの面白さもさることながら、今回、多くの女性を虜にしているのは、全体…

したり顔にいみじう侍りける人(紫式部日記)

さばかりさかしだち、真名書きちらして侍るほども、よく見れば、まだいと足らぬこと多かり。 かく、人に異ならむと思ひ好める人は、かならず見劣りし、 行く末うたてのみ侍れば、艶になりぬる人は、 いとすごうすずろなる折も、もののあはれにすすみ、 をか…

紫式部集 69 70

渡殿の戸口の局に見出だせば、ほのうち霧りたる朝の露もまだ落ちぬに、殿歩かせ給うて、御隨身召して、遣水払はせ給ふ。 橋の南なる女郎花のいみじう盛りなるを、一枝折らせ給うて、几帳の上よりさし覗かせたまへる御さまの、いと恥づかしげなるに、我が朝顏…

The Allure of ‘Beauty Looking Back’ in Ukiyo-e

The Allure of ‘Beauty Looking Back’ in Ukiyo-e What accounts for the enduring popularity of “Beauty Looking Back”? This celebrated work by Hishikawa Moronobu is a cornerstone in the history of bijinga (portraits of beautiful women). The hi…

新勅撰和歌集 巻第十五  恋五  954

来ぬ人を月に なさばやむば玉の 夜ごとにわれは 影をだに見む 紀貫之 (新勅撰和歌集 巻第十五 恋五 954) 紀貫之 きのつらゆき 貞観十四?~天慶八?(872-945) 生年については貞観十年・同十三年・同十六年など諸説ある。下野守本道の孫。望行(もちゆき)の子…

Murasaki Shikibu Diary, Chapters 1-3: The Song of the Woman Rose

As I gazed outside from my room near the entrance to the covered walkway, I noticed the faint morning mist lingering in the air, with dew still untouched. Despite the early hour, His Lordship was strolling through the garden, calling for h…

かぐや調の和歌(紫式部日記≒竹取:式部集≒伊勢)

かぐや調の和歌(紫式部日記≒竹取:式部集≒伊勢)] この紫式部三作品の対比(日記18首・式部集126首・源氏物語795首)から、宮中での紫式部は、特に人前や職場でのコミュニケーションが求められる場面において、独自の個性を極力抑えたと見ることができます…

ヒルコ 古事記

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』多紀理、推敲校正版 ヒルコ(水蛭子、蛭子神、蛭子命)は、日本神話に登場する神であり、蛭児とも称されます。 神話の記述 『古事記』によれば、伊邪那岐命と伊邪那美命が国産みの際に最初にお生まれになった…

「鎌倉時代に兼好法師が書いた随筆、徒然草」翻訳、推敲、校正

The content of Tsurezuregusa is wonderfully diverse, offering the author's thoughtful observations on daily life, the beauty of nature, and deep insights into human psychology and ways of living. It beautifully reflects the themes of mujō …

「枕草子の現代語訳 日本語が放つ美意識」 現代訳、翻訳、推敲、校正版

The Pillow Book," authored by the esteemed Heian-period writer Sei Shonagon, is a collection of essays that beautifully captures life at the imperial court, where she served, as well as the beauty of the natural world throughout the season…

詞花集  巻第二 夏 77

待つほどに夏の夜 いたく更けぬれば 惜しみもあへぬ 山の端の月 源道済 (詞花集 巻第二 夏 77) 源道済 みなもとのみちなり 生年未詳~寛仁三(1019) 光孝源氏。公忠の曾孫。信明の孫。従五位下能登守方国の子。子に大宮禅師懐国がいる。 長徳四年(998)、文章…

後拾遺集 巻二十  雑六  1106

長元四年六月十七日、伊勢の斎宮(いつき)の内宮にまゐりて侍りけるに、俄に雨ふり風吹きて斎宮(いつき)みづから託宣して、祭主輔親を召しておほやけの御事など仰せられけるついでに、たひたび御酒めして、かはらけ給はすとてよませたまひける さかづきにさや…

古今和歌集  恋五  797

色見えてうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける 色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける 小野小町 (古今和歌集 恋五 797) 六歌仙、三十六歌仙のひとりで、美女の代名詞とされる小野小町(おののこまち)は、平安時代前期の歌人。社交…