雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

紫式部の和歌に秘められた美と象徴性 ─ その本質と英訳の困難さ

紫式部の和歌に秘められた美と象徴性 ─ その本質と英訳の困難さ 宗像多紀理 紫式部の和歌は、単なる韻律の妙のみならず、深遠なる美意識と象徴性を内包し、その繊細な表現が日本文化の核心を成している。『源氏物語』の作者として名高い紫式部は、和歌を通じ…

山家集 518

山家冬月 月出づる峰の 木の葉も散りはてて 麓の里は うれしかるらん 西行 (山家集 518) 歌詠 佐久夜 tagiri.hatenablog.com 山家集【電子特典付き】【電子書籍】[ 西行 ]価格: 1276 円楽天で詳細を見る 『紫式部集』歌の場と表現【電子書籍】[ 廣田收 ]価格…

山家集 516

寒夜旅宿 旅寝する草の 枕に霜さえて 有明の月の 影ぞまたるる 西行 (山家集 516) 意訳 草枕を結び、旅寝をいたすものの、霜の降る夜の寒さに堪えがたく、夜明けを待ちわび、有明の月のほの昇るを心に描きます。 旧暦十二月二十五日。有明月。二十四節気、大…

山家集  雑上 967

春浅きすずの 籬に風さえて まだ雪消えぬ 信楽の里 西行 (山家集 雑上 967) tagiri.hatenablog.com 山家集【電子特典付き】【電子書籍】[ 西行 ]価格: 1276 円楽天で詳細を見る 『紫式部集』歌の場と表現【電子書籍】[ 廣田收 ]価格: 9900 円楽天で詳細を見…

『羅生門』

高校の国語教科書に芥川龍之介の『羅生門』が掲載されていました。 授業の進め方を示す指導書があるようですが、古典和歌の解釈と同様に、その内容が浅薄であり、要点を押さえていないと感じました。 作品への視点が表層的であるため、何度読んでも興趣を覚…

菅公御歌

心だに誠の 道にかないなば祈らずとても 神や守らん 菅原道真 (歌林四季物語) (菅家金玉抄) 【POD】菅原道真の実像 (臨川選書) [ 所功 ]価格: 2200 円楽天で詳細を見る 菅原道真 学者政治家の栄光と没落 (中公新書 2559) [ 滝川 幸司 ]価格: 946 円…

新古今和歌集 巻第十二 恋歌二 1103

大納言成通、文遣はしけれど、 つれなかりける女を、 後の世まで恨み残るべきよし申しければ たまづさの通ふ ばかりになぐさめて 後の世までの 恨み残すな 詠人不知 (新古今和歌集 巻第十二 恋歌二 1103) 意訳 題詞 藤原成通が恋文を贈ったものの、そっけな…

和歌の英訳における困難と美の継承

和歌の英訳における困難と美の継承 宗像多紀理 和歌は日本固有の韻文形式であり、その魅力は五七五七七の定型、余情を重んじる表現、そして四季折々の風雅に満ちた語彙にある。この精妙なる詩形を英語へと移し替える作業は、単なる言語の変換に留まらず、日…

日本書紀  巻第三 橿原建國の詔 神武天皇即位建都の大詔

三月辛酉朔丁卯 下令曰 自我東征 於六年矣 頼以皇天之威 凶徒就戮 雖邊土未清 餘妖尚梗 而中洲之地 無復風塵 誠宜恢廓皇都 規大壯 而今運屬屯蒙 民心朴素 巢棲穴住 習俗惟常 大人立制 義必隨時 苟有利民 何妨聖造 且當披拂山林 經營宮室 而恭臨寶位 以鎭元元…

『古事記』における女神たちの神威と象徴性

『古事記』における女神たちの神威と象徴性 宗像多紀理 『古事記』は、わが国の神話的世界観を伝える根幹的な史料であり、その叙述の中には多くの女神が登場する。これらの女神たちは、単に神話の登場人物にとどまらず、日本の文化や価値観を象徴する存在と…

萬葉集  巻第十  1835

今さらに 雪降らめやも かぎろひの 燃ゆる春へと なりにしものを 詠人不知 (萬葉集 巻第十 1835) tagiri.hatenablog.com 山家集【電子特典付き】【電子書籍】[ 西行 ]価格: 1276 円楽天で詳細を見る 『紫式部集』歌の場と表現【電子書籍】[ 廣田收 ]価格: 99…

魂を綴る漂泊の記—二条と『とはずがたり』

魂を綴る漂泊の記—二条と『とはずがたり』 宗像多紀理 二条は、鎌倉時代後期の女院であり、『とはずがたり』の作者として知られる。彼女の生き様は、単なる宮廷女性の生涯を超え、時代の移ろいとともに翻弄されながらも、自己の内面を深見つめ続けた一女性の…

紫式部集における紫式部の思い

紫式部集における紫式部の思い 宗像多紀理 はじめに 『紫式部日記』と『紫式部集』は、共に紫式部の作品であるが、その性質には大きな違いがある。『紫式部日記』は、一条天皇の中宮・彰子に仕えていた際の宮廷生活や人々の様子を綴った散文であり、紫式部の…

沖津島集 32 33

32 かぐろみのつらに うつろふ月影を たゆたふことなく 心にぞ染む 意味: 深く黒き髪に、そっと移りゆく月の光。 揺らぐことなく、その静けさを心に染み込ませてゆく。 33 うつせみのことのは 嵐吹くともに 手折らじ花の 香をしむるごと 意味: この儚き世に…