雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

2025-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『月夜』杜甫

『月夜』は、杜甫が長安にて不自由な身の上にありながら、遠き地に残した家族へ深い慈しみの心を寄せて詠んだ一首でございます。 杜甫が念願の官途に就かれましたのも束の間、世には安禄山の乱が勃発いたしました。かの有名な玄宗皇帝と楊貴妃の悲劇を引き起…

源氏物語 横笛 八首

横笛 (八首) 世を別れ 入りなむ道は おくるとも 同じところを 君も尋ねよ 朱雀院 ⇒ 女三の宮(贈歌) 【意訳】 この世をお捨てになり、仏の道へお入りになる時期は、たとえわたくしよりお遅れになったとしても、どうかあなたさまも、同じ極楽浄土をお求め…

源氏物語 各巻冒頭文 横笛

五十四帖梗概 横笛(三十二) ~The Flute~ 源氏の君は、柏木の一周忌を、まことに盛大にお営みになりました。朱雀院におかれましては、落葉宮ならびに女三の宮の御身の上に重なりました不憫なお境涯を、もはや天命としてお諦めになり、静かに御心をお鎮め…

沖津島和歌集(自歌) 40 41

沖津島和歌集 歌詠 多岐都 歌人 多紀理 40 若き子よ 今を生きなむ 静かなる 光を手繰り 星へ渡らむ 41 小雨降る 廊下の鈴は 袖濡らし 心はひそと 鍵を失ふ 追記 和樂様の「和樂歌壇」に応募いたしました。 選者 馬場あき子さん 歌人。 1928年東京都生まれ。1…

新古今和歌集 巻第十五 恋歌五 1403 深養父

新古今和歌集 巻第十五 恋歌五 1403 題知らず 深養父 うれしくは忘るる こともありなまし つらきぞ長き 形見なりける 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 題知らず 深養父 あの人の情が深くてうれしいならば、あの人を忘れる…

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1317

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1317 和歌所の歌合に、深山恋といふことを 藤原秀能 思ひ入る深き 心のたよりまで 見しはそれとも なき山路かな 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 和歌所の歌合に、「深山の恋」といふ題を 藤…

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1316

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1316 和歌所の歌合に、深山恋といふことを 家隆朝臣 さてもなほ訪はれぬ 秋のゆふは山 雲吹く風も 峰に見ゆらん 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 和歌所の歌合に、「深山の恋」といふ題を 家…

大学院 後期博士課程

わたくしごとながら、現在までの履修状況および今後の見通しにつき、以下のとおりご報告申し上げます。 これまでに、必修科目である「博士研究指導Ⅰ」2単位、同じく必修の「国文学特殊研究」2単位、ならびに選択科目として「関連分野特殊研究」4単位、合わせ…

「土佐日記」非日常的な不思議さに隠れた真実

「言葉のルールを破りまくった」紀貫之の目的 日本語を母語とする人々にとっては、ややなじみの薄い話題かもしれませんが、近年、言葉を「中立化」しようとする動きが各地で見受けられます。その目的は、言葉に付随する性別的な区分を取り払い、相手の立場に…

源氏物語 各巻冒頭文 真木柱

五十四帖梗概 真木柱(三十一) ~Makibashira~ 源氏は、この一件をひとまず秘しておこうとお考えでございました。と申しますのも、玉鬘がすでに髭黒の方のものとなっていたためでございます。源氏は、いかにも心 残りにお感じになりましたが、もはやいかん…

源氏物語 真木柱 二十一首

真木柱(二十一首) おりたちて 汲みは見ねども 渡り川 人の瀬とはた 契らざりしを 光源氏 ⇒ 玉鬘(贈歌) 【意訳】 あなたさまと深い契りを結んだ覚えはございませんが、三途の川を渡るその折に、ほかの男性に背負われて渡るなどという約束を交わしたことも…

朧月夜の面影――『源氏物語』に見る愛の理と奔放なる心ばえ

朧月夜の面影――『源氏物語』に見る愛の理と奔放なる心ばえ 世に、天性の艶やかさを湛え、ひとたび姿を現わせば、老若のまなざしをひき寄せてやまぬ女性がおります。かならずしも誰か一人に心を定めているわけではないけれど、知らず知らずのうちに人の心を捉…

紫式部小伝 ― 平安の光と影を生きた才媛の姿

紫式部小伝 ― 平安の光と影を生きた才媛の姿 2024年度のNHK大河ドラマ『光る君へ』では、平安の華やぐ宮中にて文学の光を見いだした紫式部を主人公とし、吉高由里子氏が紫式部(まひろ)を演じております。 世界最古の長編小説とも称される雄大な『源氏物語…

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1307

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1307 題知らず 西行法師 あはれとて訪ふ 人のなどなかるらん もの思ふ宿の 荻の上風 歌詠 多岐都 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 西行法師 哀れだと同情して訪れてくれる人が、どう…

NIHON SHOKI The Chronicles of Japan

NIHON SHOKI The Chronicles of Japan Translated and Annotated by John R. Bentley ACKNOWLEDGEMENTS Not long after I had completed my translation of the Sendai kuji hongi (Kujiki), I began translating Nihon shoki. This was natural, as there w…

式子内親王「山深み 春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水」考 — 霊性・境界性・幽玄の構築

設問 次の和歌について、 1. 文献学的背景(成立年代、歌群としての位置づけ、作者の境涯) 2. 語彙・表現技法の精査(造語性、象徴性、音律) 3. 新古今的美意識(幽玄・あはれ・余情・象徴化の手法) 4.「春歌」に分類されながら冬景を詠むという構造…

熊蟄穴の季節に寄せて

熊蟄穴の季節に寄せて 熊蟄穴とは、やや読み難さを覚える言葉でございまして、漢文訓読では「くま、あなにこもる」と訓ずると伝えられております。七十二候のひとつに位置づけられ、冬の気配がいよいよ深まりゆく十二月中旬、大雪から冬至へと向かう途上の、…

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 298

新古今和歌集 巻第十四 恋歌四 1298 題知らず 西行法師 今ぞ知る思い 出でよと契りしは 忘れんとての なさけなりけり 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者 峯村文人 小学館)の訳 題知らず 西行法師 今知ることだ。 あの人が、私に思い出してくれよと…

設問

設問 次の和歌について、 1. 文献学的背景(成立年代、歌群としての位置づけ、作者の境涯) 2. 語彙・表現技法の精査(造語性、象徴性、音律) 3. 新古今的美意識(幽玄・あはれ・余情・象徴化の手法) 4.「春歌」に分類されながら冬景を詠むという構造…

新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1231

新古今和歌集 巻第十三 恋歌三 1231 題知らず 西行法師 身を知れば人の とがとは思はぬに 恨みがほにも 濡るる袖かな 新編日本古典文学全集「新古今和歌集」(訳者・峯村文人・小学館)の訳 題知らず 西行法師 自分の身の程を知っているから、恋のかなえられな…

源氏物語 各巻冒頭文 藤袴

五十四帖梗概(三十)藤袴 ーBlue Trousersー 望みどほりに父君ともまみえ、また今後の行く末もおほかた定まりましたものの、玉鬘の悩ましき思ひはなお尽きることがございません。心の陰りをうつすような鈍色の衣をまとふのは、祖母大宮さまの喪に服しておは…

源氏物語 藤袴 八首

藤袴 八首 同じ野の 露にやつるる 藤袴 あはれはかけよ かことばかりも 夕霧 ⇒ 玉鬘 贈歌 【意訳】 あなたと同じ野の露に濡れ、しおれゆく藤袴のような私に、どうか、ほんのひとことでもお優しいお心ばせをお寄せくださいませ。 ※夕霧は玉鬘に恋心をほのめか…