あな憂目に常なる
べくも見えぬかな
恋しかるべき
香はにほひつつ
詠人不知
(古今和歌集 巻第十 426)

意訳
ああ、憂(うれ)いだなあ。
この梅の花は、目に常在なものとも見えないなあ。
(・・・「色は匂えど散りぬるを」の、色即是空だなあ。)
世俗の常人には恋しいのであろう香りは匂っていながら。
註
言い回しがやや難しいのですが、梅の花にこと寄せて、仏教的な無常観がストレートに詠まれています。一種の道歌(思想的な内容の歌)といえます。独特の面白さがあると思います。作者は僧侶でしょうか。
憂目:「梅」にかけてある。
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