雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

竹取物語、暗号、かぐや姫、その弍

 さて、かぐや姫、かたちの世に似ずめでたきことを、帝聞こし召して、内侍中臣房子にのたまふ、「多くの人の身を徒らになしてあはざなるかぐや姫は、いかばかりの女ぞと、まかりて見て参れ」とのたまふ。房子、承りてまかれり。

「よきかたちにもあらず。いかでか見ゆべき」

 かぐや姫、聞くべくもあらず。「国王の仰せごとを背かば、はや殺し給ひてよかし」と言ふ。

「なむぢが持ちて侍るかぐや姫奉れ」

 帝にはかに日を定めて、御狩りに出で給うて、かぐや姫の家に入り給うて見給ふに、光満ちて清らにて居たる人あり。「これならむ」とおぼして、近く寄らせ給ふに、逃げて入る袖をとらへ給へば、面をふたぎて候へど、初めて御覧じつれば、類なくめでたくおぼえさせ給ひて、許さじとすとて、率ておはしまさむとするに、かぐや姫答へて奏す。

「おのが身は、この国に生まれて侍らばこそ使ひ給はめ、いとゐておはしましがたくや侍らむ」と奏す。

 帝、「などかさあらむ。なほ率ておはしまさむ」とて、御輿を寄せ給ふに、このかぐや姫、きと影になりぬ。はかなく、口惜しとおぼして、「げにただ人にはあらざりけり」とおぼして、「さらば御供には率て行かじ。もとの御かたちとなりたまひね。それを見てだに帰りなむ」と仰せらるれば、かぐや姫もとのかたちになりぬ。

 帝、かぐや姫を留めて帰り給はむことを、飽かず口惜しくおぼしけれど、魂を留めたる心地してなむ、帰らせ給ひける。

 還るさのみゆきものうく思ほえてそむきてとまるかぐや姫ゆゑ

おもしろく木草につけても、御供歌を詠みて遣はす。

 かやうに、御心を互ひに慰め給ふほどに、三年ばかりありて、春の初めより、かぐや姫、月の面白う出でたるを見て、常よりももの思ひたるさまなり。

「一目見給ひし御心だに忘れ給はぬに、明け暮れ見慣れたるかぐや姫をやりては、いかが思ふべき」

媼、塗籠の内に、かぐや姫を抱かへて居り。 

翁、塗籠の戸を鎖して、戸口に居り。

 かかるほどに、宵うち過ぎて、子の時ばかりに、家の辺り昼の明さにも過ぎて光りわたり、望月の明さを十合はせたるばかりにて、ある人の毛の穴さへ見ゆるほどなり。

 大空より、人、雲に乗りて下り来て、地より五尺ばかり上がりたるほどに、立ち連ねたり。

「汝、幼き人、いささかなる功徳を翁つくりけるによりて、汝が助けにとて、片時のほどとて降ししを」

「いざ、かぐや姫。きたなき所にいかでか久しくおはせむ」

 今はとて天の羽衣着るをりぞ君をあはれと思ひいでける

 

 

竹取物語、暗号、かぐや姫、本当に大切なものは目に見えない、その弍

#かぐや姫 #古典 #暗号

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