雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

2023-12-06から1日間の記事一覧

源氏物語 宿木 三段

(匂宮)穂に出でぬ物思ふらし篠薄招く袂の露繁くして なつかしきほどの御衣どもに、直衣ばかり着たまひて、琵琶を弾きゐたまへり。黄鐘調の掻き合はせを、いとあはれに弾きなしたまへば、女君も心に入りたまへることにて、もの怨じもえしはてたまはず、小さ…

とはずがたり

〔…〕今宵はうたて情なくのみあたり給ひて、薄き衣はいたくほころびてけるにや、残る方なくなりゆくにも、世にありあけの名さへうらめしき心地して心よりほかに解けぬる下紐(ひぼ)のいかなるふしにうき名流さんなど思ひつづけしも、心はなほありけると、わ…

伊勢物語

昔、もの言ひける女に、年ごろありて、 いにしへのしづのをだまき繰りかへし 昔を今になすよしもがな と言へりけれど、何とも思はずやありけむ。 (伊勢物語より) 伊勢物語図色紙(香雪本) 中之島香雪美術館 小説伊勢物語 業平 (日本経済新聞出版) 作者:髙樹…

竹取物語

かぐや姫に、「はや、かの御使ひに対面し給へ」と言へば、かぐや姫、「よきかたちにもあらず、いかでか見ゆべき」と言へば、「うたてものたまふかな。帝の御使ひをばいかでかおろかにせむ」と言へば、かぐや姫答ふるやう、「帝の召してのたまはむこと、かし…

伊勢物語

昔、男、初冠(うひかうぶり)して、平城(なら)の京、春日の里に、しるよしして、狩にいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みにけり。この男かいまみてけり。おもほえずふるさとにいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。男の着たり…