出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、多紀理、推敲更正版。
能は、日本の伝統芸能である能楽の一分野です(能楽の「能」)。能面を用いて演じられます。
江戸時代までは「猿楽」と呼ばれており、狂言とともに、能楽と総称されるようになったのは明治維新後のことです。
解説
「能」という語は、もともとは固有名詞ではなく、物真似や滑稽な芸ではない芸能で、物語性を持つものを指す一般的な名称でした。田楽や延年なども能に含まれていましたが、猿楽の「能」が主として広く流行したため、次第に猿楽の「能」を「能」と略称するようになりました。そして、1881年(明治14年)に能楽社の設立を機に「猿楽」を「能楽」と改称したことで、現在のように能楽の「能」を指す語となりました。能楽の中でも、超自然的な題材を扱った高尚な芸術形式として「能」と称します。
一部の方が「能楽」と「能」を同義で用いることがありますが、これは誤解とされています。
主な曲目
「能の現行演目一覧」も参照
この節では、中世に成立した古典的な演目のうち、現在でも頻繁に上演されているものをご紹介します。これらは「現行曲」と呼ばれ、流派によって若干の違いがありますが、概ね二百数十番が現行曲とされています。歴史的にはこれ以外にも2000番から3000番程度の曲が作成されており、これら廃曲となった曲の中には、現代において再演されることもあります。また、近代や現代においても新しい曲が書かれることがあり、これらは「新作能」と呼ばれます。
能楽堂にて、1891年。尾形月耕
曲目分類
脇能物(初番目物)
二番目物
- 勇士物(八島、箙、兼平、田村など)
- 公達物(経正、知章、敦盛、生田敦盛など)
- 老武者物(実盛、頼政)
- 女武者物(巴)
三番目物
- 本髭物(井筒、源氏供養、松風など)
- 老女物(檜垣、姨捨)
- 美男物(小塩、雲林院)
- 精天仙物(杜若、胡蝶、初雪など)
- 老精物(西行桜、遊行桜、花軍)
- 現在鬘物(祇王、籠祇王、熊野、大原御幸など)
- 現在老女物(関寺小町、鸚鵡小町、卒塔婆小町)
四番目物
- 巫女・女神物(巻絹、鱗形、室君、現在七面など)
- 執心女物(梅枝、砧、水無瀬など)
- 執心男物(恋松原、恋重荷、阿漕、善知鳥、藤戸など)
- 狂女物(三井寺、隅田川など)
- 男物狂物(高野物狂、芦刈、弱法師など)
- 芸尽物(花月、自然居士など)
- 唐物(邯鄲、一角仙人、天鼓など)
- 人情物(鉢木、俊寛、景清など)
- 侍物(木曽、桜井、桜井駅、小督、安宅など)
- 斬合物(夜討曽我、大仏供養、忠信など)
- 尉物(蟻通、雨月、木賊、豊干、輪蔵)
四・五番目物
五番目物
- 女菩薩物(当麻、海人など)
- 貴人物(絃上、来殿、松山天狗など)
- 猛将物(草薙、碇潜、項羽、船弁慶など)
- 天狗物(善界、車僧、大会、第六天、葛城天狗など)
- 鬼物(昭君、鍾馗、野守、雷電など)
- 竜神物(愛宕空也、春日竜神)
- 畜類物(殺生石、鵺)
- 打合物(龍虎、舎利、飛雲)
- 鬼退治物(紅葉狩、羅生門、大江山、土蜘蛛など)
- 本祝言物(石橋、猩猩、大瓶猩猩)
- 価格: 1980 円
- 楽天で詳細を見る
|
PR