雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

源氏物語 第四章 匂宮と浮舟、橘の小島の和歌を詠み交す

匂宮と浮舟、橘の小島の和歌を詠み交す
匂宮、雪の山道の宇治へ行く

 かの人の御けしきにも、いとど驚かれたまひければ、あさましうたばかりておはしましたり。京には、友待つばかり消え残りたる雪、山深く入るままに、やや降り埋みたり。
 

 常よりもわりなきまれの細道を分けたまふほど、御供の人も、泣きぬばかり恐ろしう、わづらはしきことをさへ思ふ。しるべの内記は、式部少輔なむ掛けたりける。いづ方もいづ方も、ことことしかるべき官ながら、いとつきづきしく、引き上げなどしたる姿もをかしかりけり。
 

 かしこには、おはせむとありつれど、「かかる雪には」とうちとけたるに、夜更けて右近に消息したり。

「あさましう、あはれ」と、君も思へり。

 右近は、「いかになり果てたまふべき御ありさまにか」と、かつは苦しけれど、今宵はつつましさも忘れぬべし。

 

 言ひ返さむ方もなければ、同じやうに睦ましくおぼいたる若き人の、心ざまも奥なからぬを語らひて、

 

「いみじくわりなきこと。同じ心に、もて隠したまへ」
と言ひてけり。

 

 もろともに入れたてまつる。道のほどに濡れたまへる香の、所狭う匂ふも、もてわづらひぬべけれど、かの人の御けはひに似せてなむ、もて紛らはしける。

(源氏物語 第四章 浮舟と匂宮の物語より)

 

筆魂 線の引力・色の魔力一又兵衛から北斎国芳まで一(前期展示)

岩佐又兵衛「和漢故事説話図 浮舟」(部分)【福井県指定文化財福井県立美術館

 

何よりも危きものとかねて見し小舟の中に自らを置く 与謝野晶子  

 

 

 

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