雲心月性...

慈愛する和歌を拙筆くずし字で紹介致します。

月代

 月が冴え冴えと光り輝く季節を迎えました。2024年の十五夜は9月17日です。そのほかの日も、晴れた夜には澄み渡る夜空に月が鮮やかに浮かび上がります。秋の風物詩として、私たちの心を豊かに潤してくれますね。

 

 さて、そんな「月」にちなんで、日本文化にまつわるクイズをご紹介いたします。「月代」、これはなんと読むでしょう? そして、それがどのようなものか、ご存じでしょうか?

 

 

 答えは「さかやき」。男性の髪型の一つで、髪を額から頭の中央にかけて剃り上げるものです。平安時代、貴族や武士が冠や烏帽子を着用する際、額を半月状に剃り上げ、髪の生え際を隠したことに由来するとされています。その後、兜を着用する際に頭が蒸れないよう、兜の通気口に合わせて頭頂部を剃るようになりました。最初は出陣時に限られていましたが、戦乱が続くにつれ、日常的に月代を剃る習慣が広がっていきました。やがて、江戸時代には一般庶民の間にも広まり、明治4年1871年)の断髪令まで続きました。この月代が、江戸時代に多彩な髷の形を生み出したとされています。

 

 次に、月代の語源について考えてみましょう。「剃る」と表記してきましたが、小学館の『日本大百科全書(ニッポニカ)』や平凡社の『世界大百科事典』によれば、天正年間(1573~92)までは「毛抜(けぬき)」という道具で髪を「抜いて」整えていたと言われています。ただし、多くの辞書や事典では「月代」を「剃る」と表現しているため、前述の通り「剃る」と統一いたしました。不思議なことに、この「月代」という言葉の明確な語源は特定されていません。一説には、空気を抜く場所を意味する「逆息 (さかいき)」が転じたとも、また「逆明 (さかあき)」が語源であるとも言われています。また、冠や烏帽子をかぶっていた時代には、「つきしろ」「つきびたい」「ひたいつき」といった別の呼び方も存在していました。「月代」という漢字は、半月の形状から来ており、「さかいき」「さかあき」などの音と結びついている可能性がありますね。

 

 


 

 

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